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ゴムマスクの塗装

塗装を行う場合、その塗装対象にあった塗料を選ぶ必要があります。最近流行っている汎用的な塗料にアクリル塗料というものがあり、だいたいなんでも塗装することが出来るという便利なもので、アクリル塗料を持っていればまず問題ありません。但し、そんなアクリル塗料でもゴム素材への塗装はむずかしく、塗料がのるものの、ゴムを曲げたり伸ばしたりすると塗装がはがれます。

今回は乾燥後もあるていどのびる「Vカラー」という塗料を使ってラテックスでつくったゴムマスクを塗装する様子を紹介します。このVカラーは浅草ギ研でも販売しています。


塗料の比較

実際に塗装を行う前に、一般的に使われている塗料とVカラーの比較を行ってみます。
比較には、通常模型などに使われるエナメル塗料、アクリル塗料、Vカラーの3種類を選びました。

SH13-1
まず、プラモデルなどでよく使われるエナメル塗料です。写真の色はガンメタリックです。塗料にはエアブラシを使いました。エナメル塗料は粘度が高いのでエアブラシを使う場合は若干薄める必要があります。塗装の段階では問題なく塗装できました。


SH13-2
次にアクリル塗料です。これは画材屋、模型屋などで簡単に入手できるので一般的な塗料と言えるでしょう。写真の色はスカイブルーですが、マスクラテックスに薄い色を塗る場合には下地の色が出るので多少濃い目になります。また、このテスト用のゴムマスクは型から外したばかりでアイボリーと茶色の中間のような色ですが、数日経つとマスクの色がさらに濃くなるので薄い色を使う場合は注意が必要です。通常は完全にゴムが落ち着いて色が濃くなってから塗装するのが望ましいのですが、時間が無いという場合には若干薄めの色あいにしておくと良いでしょう。このあたりは慣れが必要です。但し、濃い色や、色を何層にも重ねるような場合にはあまり気にしなくてもよいかと思います。


SH13-3
次にVカラーです。Vカラーは非常に粘度が高いのでそのままエアブラシで噴くと上の写真のように出ている途中で塗料が乾き、糸状になってしまい、おまけに色も白っぽくなってしまいます。Vカラーをエアブラシで噴く場合には十分薄めてから使用しましょう。但し薄めすぎると(薄め液を噴いているような感じになると)塗装中に色が落ちてしまいます(薄め液を噴いているような感じになると)ので何回か試し噴きをして納得のいく状態になったらエアブラシに入れます。


SH13-4
Vカラーも問題なく塗装できました。


SH13-5
3つの比較です。左からVカラー(青)、エナメル塗料(ガンメタ)、アクリル塗料(スカイブルー)です。この時点では3つとも問題なく塗装できています。
さて、この状態で乾燥させたら塗装面を曲げたり伸ばしたりしてみます。


SH13-6
まず、アクリル塗料からです。写真のように何回か折り曲げたり伸ばしたりしてみました。この時は一見問題なさそうに感じられます。


SH13-7
但し、開いてみると若干塗装がハゲているとことがありました。写真ではわかりづらいかもしれませんが、大きなハゲが2箇所と、スジ状の線が3本入っています。


SH13-8
次にエナメル塗料を同じようにしてみました。エナメルの場合は曲げた瞬間にすでに粉状になって落ちていくのがわかります。


SH13-9
開いたところです。折り曲げた部分を中心に、動かしたまわりの部分も塗装が落ちています。


SH13-10
次にVカラーです。


SH13-11
Vカラーの場合は普通に折り曲げたりする分にはまったく問題ありませんでした。この後、手で引っ張ったりしてみましたが問題ありません。細い割り箸などで一点を引き伸ばすとその部分の塗装が落ちましたが周りは大丈夫でした。このように、マスクをかぶるなどの用途の場合は問題なく使うことができます。


下準備

以下は塗装例を紹介します。対象は前回作ったミニヨーダマスクを使います。前回は型から抜いただけなのでここで若干下準備をします。まず、余分な部分をくり抜くために後頭部を縦に切ります。顔の大きさのマスクを作った場合に実際にかぶる場合もこのように切って顔を入れます。

SH13-12



SH13-13
裏返しにして目の部分を切り取ります。また、表面の型同士のつなぎ目部分もまゆげ切りバサミなどできれいに切り取っておきます。


SH13-14
若干切り残しがありますが、時間の関係でここまでとします。ハンダゴテにカッターをつけて溶かして切る方法もありますが、有毒ガスが出ますのでこの方法の場合には十分換気をしてマスクをつけて作業してください。


SH13-15
目の部分にはアクリル製のドールアイを入れることにします。塗装に自身のある方は始めの造形時に目の部分にビー玉を入れて原型→型取→キャストをし、目を書くという手もあります。上の写真は5mm径の緑色のアクリルドールアイです。このような材料は西洋人形を作る材料を販売している手芸店などに置いてあります。


塗装

塗装をする場合には写真などをみながらすると良いでしょう。また、筆ではなく、エアブラシを使った方がきれいに塗装できます。本格的にマスクを作ろうとしている方は是非エアブラシの使用をおすすめします。

SH13-16
原型を作ったときも使用していましたが、スクリーンという雑誌のスターウォーズ特集にヨーダの写真が沢山のっていますのでこれを参考にします。


SH13-17
まずベースとなる色を作ります。この色は陰影をつけるためのベースの色となりますので多めに作っておきます。前に述べましたが、Vカラーは粘度が高いので他の塗料より多めに薄め液を入れて薄めます。Vカラーは専用のうすめ液がありますが、この薄め液も非常に揮発性の高いもので、すぐに揮発してしまいます。十分換気をして作業しましょう。
ヨーダはうす緑色がベースなので緑と白を混ぜてベースを作ります。


SH13-19
若干茶色を混ぜてベースとしました。写真を見るともっと黄色い感じがしますがあいにく黄色が無かったのでこれで良しとします。


SH13-20
まず、ベースとなる色を塗ります。写真では均一に塗っていますが状況に応じて均一に塗らなくてもよい場合もあります。下地の色が茶色なので、ハイライト部分をあまり塗らないという方法もありでしょう。ハイライトとは光があたっているような塗装をする部分で、通常は凸部に基本色より明るい色を塗って表現します。この逆をシャドウといいます。立体造形物は凹凸があるので光をあてると陰影ができますが、ハイライトやシャドウを塗装により入れた方がより本物のように見えます。


SH13-21
次にシャドウになる色をつくります。この時、基本色を2つに分けてハイライト分もとっておきます。基本色に黒を入れてもよいのですが、今回は青を入れてシャドウ色をつくりました。このあたりは美術学校にいっていると配色の勉強でどのような色が良いかを教えてくれるらしいのですが美術学校に行ってない人は経験を積むしかありません。市販の書籍などでも勉強できるようですが私は読んだことないです。但し基本的な色の原理は知っておいた方が良いでしょう。


SH13-22
シャドウは基本的に凹部に塗ります。このような塗装は筆では難しいのでエアブラシを使った方が良いでしょう。


SH13-23
ハイライトは黄色を混ぜたかったのですが無かったので肌色を混ぜて作りました。


SH13-24
次はハイライトを凸部に塗っていきます。ハイライトはやりすぎるとおかしくなるので少しづつ塗っていくのが良いでしょう。


SH13-25
その後、ヨーダの顔の染みを茶色と肌色で追加しました。失敗した場合は基本色を重ね塗りして修正します。間違っても拭こうと思ってはいけません。


目の貼り付け

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ドールアイを貼り付けます。


SH13-27
裏側に目をつけてみて位置を確認します。


SH13-28



SH13-29
裏側はホットボンドでとめます。ホットボンドは手芸店か工具屋で売っています。ゴムでもなんでも接着できる便利なものです。


SH13-30
とりあえず塗装の完成です。この後、植毛をします。植毛は別のコーナーで。

2003年8月28日


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