<概要>
■家電などの赤外線リモコンを操作するボード
AGB65−RMC (ReMote Controller) はシリアル通信で操作する、家電用赤外線リモコンの学習ボードです。リモコンの発射パターンを記憶し、同じパターンを送信できます。これにより家電などの赤外線リモコンで動かす機器を、マイコンやパソコンなどで操作することが可能となります。
■16チャンネル(最大64チャンネル)までの設定記憶
送信パターンは16種類まで記憶できます。本ボードはID切り替えにより4つを直列接続できますので、最大64チャンネルまでを1つのシリアルラインで制御できます。
■マイコンやPC、Linuxボードと簡単接続
シリアル通信は5Vレベルなので5V系のマイコンと直結して使うことができます。又、オプションの使用により、RS232C、USB、Bluetoothでの通信も可能です。よって、シリアル通信の機能が使えるものなら、PC、マイコンを問わず簡単にリモコン操作することができます。
■手動操作も可能
基板上のチャンネルスイッチとプッシュボタンの操作により、この製品単体でも動かすことができます。チャンネルの記憶は手動で行い、パターンの送信はシリアルから、という使い方も可能です。
■他のAGR65シリーズに接続可能
他のAGB65シリーズのセンサやコントローラと同じシリアルラインを共有できます。AGB65シリーズについては「ロボット神経システムAGB65シリーズの説明」のページを参照願います。
■最大460Kbpsの高速通信が可能!
通信速度は最大460.8Kbpsに対応し、高速にデータを送信することが出来ます。(初期設定は115.2Kbps)
注)PCは115kbpsの速度を出せるものがほとんどですが、マイコンの場合はクロックによっては正確な115Kが出ないものがありますので注意してください。クロックの選択は各マイコンのデータシートを参照願います(H8TinyやPICなどの低速マイコンの場合は115200の倍数のクロックを使う必要があります。)
。浅草ギ研製Bluetooth無線と接続し、460.8Kbpsで通信することが可能です。
■電源搭載で外部に電源回路不要!バッテリ駆動が可能!
ボード上に電源回路を内蔵し、外部に電源回路が不要で、バッテリなどで駆動することができます。
■20x50mmの超小型設計!
ロボットなどに基板を搭載する場合はその大きさがネックになりますが、本製品は極力小さい部品で構成されており、実装面積が小さくて済みます。また、基板の4角には取り付け穴があります。(穴系2.2mm、M2ネジ用)
<使用上の注意(必ずお読み下さい)>
・このボードは電子機器です。取扱い、輸送時には静電気対策を行ってください。ICの足や、各ピンを直接手で触ったりすると静電破壊される場合があります。
・バッテリ使用時には電源ラインをショートさせると、バッテリが破裂・発火する可能性があります。作業中にはショートさせないよう十分注意して下さい。また、取り付け後も、あいている電源ラインに導電物質が触らないように注意して下さい。
・動作中に、一部部品が熱くなることがありますのでご注意願います。
・このボードは他の浅草ギ研製品とは違い、大電流が流れる可能性があります。取扱を間違えるとモータやコイルなどのアクチュエータ、コントローラ自体、バッテリなどの電源が燃えたり破裂したりする可能性が非常に高いので、仕様するモータ、アクチュエータの仕様をよく読み、また下記事例などを十分参照した上でお使い下さい。
<仕様>
基板用電源
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+6〜+15V (*1)
コネクタ:日圧B2B-EH (9V電池ケーブル付属) |
基板消費電流
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150mA |
チャンネル数
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16チャンネル |
ビット数
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最大1010ビット/チャンネルまで記憶可能 |
分解能
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パルス幅最低が0.1mSなら再生可能 (内部分解能は3uS) |
送信周波数
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39KHz (38KHz、40KHz両方に対応) |
フォーマット
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上記ビット数以下なら家電協、NEC方式で確認済み。(*2) |
通信設定
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8ビット、ノンパリ、ストップ1ビット フロー制御なし
非同期通信 |
通信規格
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TTLレベルEIA232C準拠 (*3)
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通信速度
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9600bps/115200bps/460800bps
(ジャンパで切替) |
固有ID
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212〜215 (IDについては下記取扱い説明を参照)
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寸法/重量
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寸法20x50mm 重量:6g |
付属品
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■AGB65電源ケーブルx1 (基板と9V乾電池をつなぐケーブル)
■電源延長ケーブルx1 (二台目のAGB65と電源を共有するケーブル)
■通信ケーブルx1 (二台目のAB65と通信ラインを共有するケーブル) |
(*1)高い電圧になるほど効率が落ち、発熱量が増えます。12V以下での使用を推奨。
(*2)ほとんどの、家庭にある家電用の赤外線リモコンは使用することができます。Wiiリモコンなどのゲーム用は不可。
(*3)5V系のマイコンと直結できます。PCなどと接続する場合は別売のオプションが必用になります。
<ピン配列>
※各コネクタ用のケーブルは、商品に添付されています。(5V電源出力コネクタを除く)
<価格>
税込み 8,925円 (本体価格8,500円)
<オプション>
AGB65−USB 3,780円 (本体価格3,600円)
(USBで接続する場合に必用です。下記接続例を参照。)
AGB65−232C 4,725円 (本体価格4,500円)
(PCのCOMポートと接続する場合に必用です。下記接続例を参照。)
Bluetooth無線機(本製品と接続するには下記2つが必要です。)
BlueMaster 12,600円(本体価格12,000円)
AGB65−BT 2,520円(本体価格2,400円)
<接続例>
<システム構成例>
<マイコンとの接続>
<USBでの接続>
<PCのCOMポート(RS232C)との接続>
<Bluetoothでの接続>
<電源ケーブルの接続>
AGB65電源ケーブルは、なれないと差し込みづらいので、下の図を参照に、慎重に差し込んでください。まっすぐに挿入すると簡単に入ります。簡単に入らない場合は無理をして端子を曲げないように注意して下さい。尚、逆に挿そうとすると入りません。
電源ケーブルの逆側には、9V乾電池用のスナップが付いております。これは簡易的なものなので、何回も乾電池を抜き差しするとスナップ部がゆるみますのでご注意下さい。9V乾電池以外の電源を使用する方は、ケーブルを切断してそれぞれの電源に合ったコネクタを取り付けて下さい。電源ケーブルを切断する際は、電源がつながっていないことを十分注意した上で行ってください。通電したまま電源線をカットすると乾電池などが破裂する可能性がありますので注意して下さい。
AGB65同士は、付属のケーブルにより、電源を共有することができます。各AGB65には電源コネクタが2つづつついているので、付属の電源延長ケーブルで、他のAGB65へ電源を供給します。
<赤外LEDの増設>
本製品には、増設用の赤外LEDポートが1つあります。赤外発射用のLEDを増設する場合にはこのポートに取り付けてください。LEDはVf=2V前後のものを使用してください。
<手動操作>
本製品は、基板上のスイッチ操作によって、単体でも動かすことができます。リモコンの学習、又は動作テストは手動操作で行った方が作業が早いと思います。以下、手動操作の方法を説明します。
<学習方法>
1)AGB65-RMCに電源を接続します。正常に起動すると、LEDが3回点滅します。
2)記憶させたいリモコンをRMCの赤外受信素子に向けます。
エアコンのリモコンを記憶中、
3)手動チャンネル設定スイッチ(ロータリースイッチ)を記憶させたいチャンネルに合わせます。マイナスの精密ドライバなどでまわしてください。16進数になっており、Aは10、Bは11...Fは15になります。
4)手動操作スイッチ(プッシュボタン)を2秒以上、長押しします。するとLEDが1回点滅します。その後、記憶させたいリモコンのボタンを押してください。記憶が始まるとLEDがもう一度点灯し、記憶が終わるとLEDが消えます。
記憶には数秒かかります。リモコンのビット長により記憶時間は変わります。
もし、手動操作スイッチを長押しした後、5秒以上信号を受信しないと、LEDが2回点滅して学習状態を終了します。
同じようにして、チャンネルを切り替えながら16種類までのリモコンパターンを記憶できます。
<信号発射方法>
電源を入れた状態で、手動チャンネル設定スイッチ(ロータリスイッチ)を操作したい番号に合わせ、プッシュボタンをちょん押し(2秒以下)すると、記憶した信号パターンを発射します。
エアコンの電源をONし、冷房を選択、
信号パターンはROMに書き込まれており、ROM内からパターンデータを読み出すのに数秒かかる場合があります。たとえば、数十ビットぐらいのデータ(扇風機のリモコンなど)の場合はボタンを押した直後に送信されますが、500ビットぐらいのデータ(エアコンやデジタルテレビなどで多い。)の場合だと送信までに5秒前後かかります。
<シリアルデータ通信による操作>
<データ形式>
マスタからの指示は、バイトサイズの数値データで送られます。バイトサイズ(8ビット)単位なので、表される数値は0〜255の256種類になります。
尚、以下特に記述がない場合は、数値は10進数で表しています。
−基本形−
データの基本形は次の通りになります。[ ]内は1バイトを表します。()内は送りえる数値の範囲を表します。
[シンクロバイト(255)] [ID(28-31)] [送信バイト長(1-8)] [命令1] [命令2] [命令3] ...
シンクロバイト |
データの通信開始を知らせるデータで、常に「255」で始まります。 |
ID |
設定された固有のID。(*) |
送信バイト長 |
送信される命令の(バイト)数。シンクロバイト、ID、送信バイト数は数えません。 |
命令 |
動作させたい命令。以下で詳しく説明します。 |
(*)設定で28-31の4パターンに設定できます。 |
注)データはキャラクタデータではなく、数値(バイナリ)データで送ります。
例えばマイコンをマスタとし、C言語でプログラムを作る場合に255を送信しようとして(PCや他の言語も考え方は同じ)、
printf("255");
とするのは間違いです。これですとキャラクタデータですので実際には2と5と5を表す3バイトのキャラクタデータが送られてしまいます。数値データに直すと[32][35][35]が送信され(ASCIIコード参照)、[255]ではないことになります。
unsigned char SINC = 255;
printf("%d",SINC);
で、[255]が1バイトだけ送られます。
※お使いのCコンパイラによっては構文がことなるかもしれません(printf関数がないとか、バイトサイズ変数の宣言はcharではなくintやbyteだとか)のでご注意下さい。
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−命令一覧−
命令値 |
動作 |
方向 |
フォーマット |
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<共通命令> |
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0 |
パターン記憶 |
送信 |
[255][ID(212-215)][バイト長(2)][命令(0)][ch(0-15)] |
1 |
信号発射 |
送信 |
[255][ID(212-215)][バイト長(2)][命令(1)][ch(0-15)] |
上以外 |
無視されます。 |
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※方向はマスタ側から見たデータの通信方向を表します。「送信」はマスタ−>コントローラへ送る命令、「受信」はコントローラ−>マスタへ返される結果を表します。
【命令0:パターン記憶】
<説明>
chで指定したチャンネル番号に、リモコンの信号パターンを記憶します。動作内容については手動操作と同じですのでそちらを参照願います。
<送信フォーマット>
[255] [ID(212-215)] [バイト長(2)] [命令(0)] [ch(0-15)]
・シンクロバイトは255で固定です。(データを送信する先頭は必ず255)
・IDはジャンパで設定したIDを指定します。(出荷時はID=212)
・バイト長は2で固定です。
・命令は0で固定です。
・chはチャンネルを0〜15で指定します。
<送信データ例>
チャンネル6に記憶させたい場合は次ような送信データになります。出荷時設定(115200bps、ID=212)のままとします。
[255] [212] [2] [0] [6]
【命令1:信号発射】
<説明>
chで指定したチャンネル番号の信号を発射します。動作内容については手動操作と同じですのでそちらを参照願います。
<送信フォーマット>
[255] [ID(212-215)] [バイト長(2)] [命令(1)] [ch(0-15)]
・シンクロバイトは255で固定です。(データを送信する先頭は必ず255)
・IDはジャンパで設定したIDを指定します。(出荷時はID=212)
・バイト長は2で固定です。
・命令は1で固定です。
・chはチャンネルを0〜15で指定します。
<送信データ例>
チャンネル15に記憶させたデータを発射する場合は次ような送信データになります。出荷時設定(115200bps、ID=212)のままとします。
[255] [212] [2] [1] [15]
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<サンプルプログラム>
AGB65シリーズの使い方は、ほぼみな同じです。又、プログラムもほとんど同じになりますので、各種コンピュータとの接続は下記リンクを参照願います。
■PCでAGB65−RMCを制御 −> こちらとほぼ同じです。
■BASICスタンプからAGB65−RMCを制御−>こちらとほぼ同じです。
■H8からRMCを制御−>こちらとほぼ同じです。
■PICからRMCを制御−>こちらとほぼ同じです。
■AVRからRMCを制御−>こちらとほぼ同じです。
<トラブルシューティングQ&A>
Q:自作回路につないでいるがまったく動かない。ADCが正常に動作しているか確認したい。
A:電源入り時に赤LEDが3回点滅します。これが確認できれば本ボードは正常に動いていますので自作回路の方を重点的に確認してください。
この確認の時は電源以外のケーブルはつながないで下さい。
Q:命令を送ったが返答が無い。
A:下記が考えられます。
・マスタとの間でGNDを接続していない。
・本ボードのTXとマイコンのTXをつないでいる。(TXはマイコンのRXへ、RXはマイコンのTXへつなぎます。接続例の図を参照。)
・電源電圧が不足(バッテリなどの表面の表示値ではなく、テスタで実際に電圧を測って確認して下さい)
・電源出力が不足。たとえば、安価なACアダプタや電源を使っている場合、出力が「1A」などと書かれていても瞬間的には1Aも出ない場合があります。本製品は他のAGB65と違い、消費電流がやや大きめですので、電源も電流を多く流せるものにしないと正常に動作しない場合があります。基本的にはロボット用を想定しており、バッテリはニッカド、ニッケル水素、LiPo、LiFeなどを使用してください。
・マスタ側の通信速度と速度が合っていない(マイコンで115kbps通信の場合は特に注意)
・データを数値データ(バイナリデータ)ではなく、キャラクタデータで送っている。
・マスタ側から送信する際のIDが間違っている。
・通信中に、本ボードの電源を切ると、その後に電源を入れてもマスタ間の通信が出来ない場合があります。この場合は一度マスタと本ボード両方の電源を切り、本ボード側を先に立ち上げてからマスタ側を立ち上げてください(マイコンがマスタの場合は電源を共通で使用していると思いますので、ソフト的に電源投入後しばらくしてからデータを送るようにプログラムしておけば、単純に電源を切り入りするだけで済みます)。
Q:PWM制御をしたがモータからキーンという音が出るだけで動かない
A:モータ、ギア構成、電源の種類と電圧によって、モータが回り始めるPWM出力の値が違います。たとえば、マブチモータなどの場合、ギアダウンしない場合は出力30%ぐらいでも回りますが、1/300ぐらいにギアダウンすると出力90%以上でないと回転しない、ということがあります。
Q:学習できないリモコンがある。
A:本ボードは、1つのチャンネルで覚えられる信号パターンは1010ビットまでとなっています。製品化テスト時には見当たりませんでしたが、1010ビット以上のリモコンの場合は学習できません。
A:よくあることですが、リモコンとRMCの間に障害物がある場合は、正しく学習されない場合があります。特に手動操作時は、受信素子をかくさないように注意してください。
Q:基板が熱くなる。
A:本製品の仕様です。状態によっては60度ぐらいまで上がりますのでやけどに注意してください。
Q:LEDがうっすらと点灯している。
A:正常に起動しない場合はこのようになります。電源の出力を大きいものに変えてください。
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